「フルタイムにこだわらない」パート改革で業績をあげた会社がある
希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第3回
――普通の会社では、子どもが体調をくずしても、周囲の目を気にして休みにくい、早退をしにくいことも多いようです。
どうしてこういう働き方が許されるのかというと、子育てをしたことのあるパートさんがたくさんいて、みんな、同じような経験をしているから。だから周りに対しても、寛容なんです。
わかりやすい話をすると、こういうことです。男性同士が待ち合わせをすると、みんな時間通りに来ますが、主婦同士が待ち合わせをすると、誰かが遅刻することがあります。なぜですか?
それは、小さな子どもや赤ちゃんがいるからです。家を出る直前に、子どものおむつを取り替えなければならなくなった。おむつを替えていたら、約束の時間に間に合わない。だからといって、そのままにする母親はいませんよね。母親はみんな、子育ての大変さを共有している。だから主婦同士の集まりは、遅刻に寛容なんです。
――フルタイムの雇用にこだわらないのは、なぜですか。
フルタイムで働ける主婦よりも、半日、あるいは数時間働ける主婦のほうが人数が多くて雇用しやすいからです。
フルタイムで働けるパートさんをひとり雇うのではなくて、仕事や勤務時間をふたつに分けて、「ふたり雇えばいい」というのが武蔵野の考え方です。
出勤日数に関しても、多くの社長は、「平日5日間毎日来てほしい」と考えますが、私は違います。
シフト制にして、「あなたは月水金、あなたは火木土でいいよ」と、仕事量を調整できるようにしています。ひとつの仕事をふたりでやっているから、ひとりが休みたいときにもう一人に代わってもらい、パートさんたち自身が、交替でうまく勤務日数の調整をしています。
例えばコールセンターでは、短い人で「一日3時間半、週に2、3回」の勤務です。コールセンター長の部長、滝澤美佳子は、「必ず週3日出てください、というような最低勤務日数も決めていないので、大学生のアルバイトのように、1ヵ月前に希望勤務日時を提出してもらい、それをもとにシフトを組んでいる」と話しています。
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